前回は、通販代金の未収金について、第三者に回収を委託する先として、
債権回収会社(サービサー)に委託する際の注意点をご紹介しました。
本日は、債権回収を弁護士に委託する方法についてご紹介します。

 

まず、そもそも通販代金のような大量の少額債権について、
弁護士事務所は依頼を受けることができるのでしょうか。
そもそも大量の債権について督促状を送付し、架電・受電の対応を行うには、
そのためのシステムが整備されていることが必須です。
かつ、委託する債権の内容は滞納者の個人情報ですので、
個人情報の管理について万全の態勢を備えている必要もあります。

このようなシステムや個人情報管理体制を具備している弁護士事務所は数に限りがあります。
また、弁護士に債権回収を委託する目的は、もちろん「1円でも多く回収したい」
と言うものですので、そのためには、回収状況を監視して、回収率が低い状況が発生した
場合には原因を分析して、回収率の回復を図る体制が整っていることも求められます。

このような体制を整えている弁護士事務所と言う点も弁護士選定の状況となるでしょう。

 

さらに、前回ご紹介したように、弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人以外の者が、
委託を受けて債権回収業務を行うことを禁止しています。
とすると、弁護士事務所における債権回収業務は
弁護士の責任の下で適切に行われる必要があり、弁護士が関与することなく、
弁護士資格のない事務員が債権回収業務を単独で行うこととなれば、弁護士法に違反することになります
したがって、弁護士が常駐するなどコンプライアンスを遵守している弁護士事務所を選定すべきと言えます。

 

以上の基準で弁護士事務所を選定し、実際に弁護士事務所による督促が開始されると、
債務者から弁護士事務所側に入金があるほか、債権者側に直接入金してくるケースも多数発生します。
これらの入金情報のデータは速やかに相互に連携する必要があります。

連携が遅れると、既に入金されて完済となっている対象に対して督促を行ってしまったり、
債務者から残債務の金額について問い合わせが来た際に、誤った金額を案内してしまうことになります。

また、弁護士事務所から債務者に督促を行うと、「既に支払い済みである」とか、
「商品に問題があり、会社に連絡を入れたら、調査するので
支払いを保留してよいと言われた」などと様々な申告がされることがあります。

このような申告内容について、弁護士事務所側で真偽の判断ができない案件については、
債権者である依頼者に確認することになります
この確認作業は頻繁に生じるものですので、ルールを決めて、漏れなく迅速・確実に行う必要があります

 

本日はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。