さて前回、少額債権回収の督促の流れは
・自社回収手続
・第三者への回収委託
・法的措置
の3段階となると述べました。
このうち「自社回収手続き」とは、債権者自らが督促を行い、債権回収を図る手続きのことを言います。
この点、債権回収の鉄則として債権発生から時間が経てば経つほど回収が困難となるためできるだけ早く督促を開始する必要があります。
そうなると、債権発生直後に督促をすることができるのは債権者自身であるので(通販代金の支払期限を少々過ぎただけですぐに弁護士から督促状がいくとなると大切なお客様を失うことになります。
債権者自らが行う自社回収がうまくいくかどうかで、全体的な回収率に大きな開きが出てくることになります。
また、少額の債権回収にあたって常に意識しなければならないのは費用対効果です。
数千円から数万円の少額債権を回収するために費用が何万円も何十万もかかっていては、経済的には何の意味もないことになります。
そして、第三者への回収委託や法的措置まで進んでしまうと相応の費用がかかってしまうわけですから、できるだけ自社において回収を行い、それでも回収できなかったものについてだけ次のステップに移行するという運用が望ましいのです。
そこで、このような超重要な自社回収手続きについて早速ポイントを解説していきます。
孫子の有名な教えに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という格言があります。
債権回収で言えば、まずは債務者を知ることが重要です。滞納する人はどういう人なのかについて分析しなければ効果的な督促はできません。
お金のない人(無い袖は振れない)に対して「残金一括で支払いがない場合は、法的手続きをとりますよ」と示唆してみても、交渉はうまくいきません。
そこで、滞納者について、以下の3つのファクターで分析するのが有効です。
① 支払い意思があるのか
② 支払い能力があるのか
③ 管理能力があるのか
すなわち、債務者が自ら支払おうという意思・意欲を持ってくれているのであれば、その意思を活かせば自分から支払ってくれるわけですから回収が容易になります。
ですので、①支払い意思があるのかの見極めが重要になります。
また、②の支払い能力があるのであれば滞納者は、財産の差押や給与の差押をされる可能性を認識すれば(実際にそのような法的手続きまでとるかは別として)、やはり自主的に支払ってくる可能性が高くなりますのでこちらの見極めも重要です。
とはいえ、支払い意思も支払い能力も特に問題があるわけではない滞納者の中には、管理能力がないがために、支払期日を忘れてしまうなどの理由で滞納してしまうという人が少なからず存在します。
このような滞納者に対しては、督促時や支払い期日直後に取るべき特別な対策がありますので③管理能力があるのかの見極めも重要です。
従って、まずは滞納者を上記ファクターに従って分析し、効果的・効率的な督促の方法を学んでいきましょう。
次回はここの解説をさせていただきます。
それでは、今月はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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