さて前回、滞納者について以下の3つのファクターで分析するのが有効であると述べました。

① 支払い意思があるのか

② 支払い能力があるのか

③ 管理能力があるのか

このうち、まずは ①支払い意思 の見極めが重要です。

少額債権回収においては、費用対効果を意識する必要があるわけですから、債務者自らが支払おうという意思を有しているのであれば、その意思を利用することで回収にかけるコストは少なくて済むのです。

自社回収の段階では、単なる支払忘れや、たまたま手元に現金がなかったといった理由で滞納になっているケースが多く、このような滞納者には、問題なく支払い意思があるという場合が多くを占めています。

にもかかわらず、かかる支払い意思のある滞納者に対して、債権者が強い督促をしてしまうと、

「態度が悪い」

「支払うつもりだったのに、その言い草は何だ!」などと

怒らせてしまい支払い意思を失わせてしまうことになりかねません。

そこで、滞納直後の段階で送付する督促状は表現を柔らかくし、徐々にその表現を強くしていくという配慮が必要です。

加えて、電話で督促する場合も、支払い意思のある債務者に対しては、債務者の事情をよくよく聞いてあげて、相談に乗るような態度で対応することが効果的です。

これに対して、債務者に支払い意思がないという場合は、どうすべきでしょうか。

この場合でも、一次的には支払い意思を生じさせることを主眼とすべきです。

通販などで商品を購入して、既に使用済みであるにもかかわらず、代金を支払う意思がないというのは信じられない事態ですが、その道理を説明して債務者と喧嘩するというのでは本末転倒です。

この点支払い意思がないパターンとして、債権者に対する不満・クレームから支払い意思がなくなっている場合と、そのような不満があるわけではないが単純に支払いたくないという場合があります。

前者の場合、その不満を解消してあげることにより支払い意思が回復するということはよくあります。

自社回収の段階では、一次的に債務者となっていても、将来的に再度顧客となることは十分あり得るわけですから、あくまで「お客様」として丁重に扱うことが必要です。

具体的には、債務者の言い分を十分に聞くことが必要となるでしょう。

債務者の言い分の正当性を吟味して、採るべき対応を採ったにも関わらず債務者の不満が解消しない場合は、それはおよそ正当な理由のない支払い拒絶に過ぎず、単なるクレーマーと判断できます。

では、クレームが正当でない場合や、何の不満もないにもかかわらず支払う意思のない債務者に対しては、どのような交渉をしていくのが効果的でしょうか。

こちらは次回解説いたします。

それでは、今月はここまでとします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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