前回は、滞納者に支払い意思がある場合とない場合とで、督促のアプローチが異なるという点をご紹介しました。
では、「そもそも支払い意思があるのか?ないのか?」は、どうやって判断するのでしょうか?
口先では支払いが遅れていることを何度も謝罪して、低姿勢で、支払いを約束する債務者であっても、結局支払いはせず、最初から支払うつもりがあったのかと疑問に思わざるを得ないケースもあります。
一方で、電話対応は横柄な態度でありつつも、実際に期日になるときちんと支払ってくる債務者というのも存在します。
要するに、債務者の態度・発言というのは、支払い意思がある・なしの一つの判断要素にはなりますが、あまり重視する要素ではないと言えます。
これについては、以下のような客観的な事情で判断するのがよいでしょう。
1、一部でも入金があるか
2、支払予定を具体的に示しているか
3、入金予定の説明が具体的かつ現実的か
4、自発的な連絡があるか、当方からの連絡に対してきちんと対応するか
まず、1「一部でも入金があるか」についてですが、一部でも入金があるということは、それは支払意思の最たるものです。
遅れ遅れであろうと、一部でも入金があるということは、支払い意思があるからこそ支払いをしてきていると判断すべきです。
遅れ遅れである点や、一部入金に止まっている理由は、支払い意思の欠如ではなく、次回以降にご紹介します支払い能力や管理能力の問題であると言えます。
次に、2「支払予定を具体的に示しているか」についてですが、「お金が入ったら支払います」「来週か再来週に払っとくよ」など、具体的な支払い金額や支払い時期を明確にしない債務者には、支払い意思は乏しいと判断せざるを得ません。
具体的な約束を避けるというのは、支払期日が過ぎた後に、約束を破ったことに対する責任を追及されないようにしようという心理の表れなのです。
次に、3「入金予定の説明が具体的かつ現実的か」についてですが、例えば、支払い原資を尋ねてみると、「友人へ借り入れを頼んでみる」といった不確実なものしか出てこない場合は、支払意思は乏しいと言えます。
このような場合は、さしあたり一時的に督促から解放されるために支払い約束をしているだけであり、真に支払う意思はないと言わざるを得ません。
次に、4「自発的な連絡があるか、当方からの連絡に対してきちんと対応するか」についてですが、何らかの問題が発生して支払いができていない場合に、債務者側から自発的な連絡をしてこないということは、支払い意思がない方向に傾きます。
本当に支払意思があるのに、何らかのアクシデントで支払いができない場合には、債務者の方から自発的に債権者に連絡をして事情を説明するのが通常ですし、少なくとも、債権者から連絡があったにもかかわらず、電話に出ない・コールバックもしないという態度にはならないと思われます。
では、本日はここまでとします。
次回は、債務者の支払い能力の見極めと対応法について考察を加えます。
今月も、最後までお読みいただきありがとうございました。