本日は、支払意思や支払能力に問題はないものの、自分の支払いを管理する能力が欠如している滞納者に対する対応法を検討します。
支払期日を忘れてしまったり、他の債務の支払いと勘違いして結果として滞納するといったケースです。
このような滞納者に対しては、督促時に取るべき対応と、支払い期日直後に取るべき対応と、分けて考える必要があります。
まず、督促時に取るべき対応ですが、何と言っても支払いの金額や期限を「覚えてもらう」ことです。
滞納者の記憶に刷り込むためにも、
①支払総額、次回の支払金額、支払期限等について、メモをとってもらう
②あらためて合意内容を書面にして、滞納者に送付する
③万一支払いがない場合の不利益を伝えることで、切迫した状況であることを理解してもらう
などがあげられます。
ただ、このような管理能力のない滞納者の場合、支払うべきものの支払いを平気で忘れてしまうくらいですから、上記のように督促時の対策を講じたとしても、それでも支払いを忘れてしまうということが往々にして起こります。
そこで、本来の支払期日直後にとるべき対策が重要になります。
具体的には、支払い期日の翌日など滞納直後に連絡を取り、「昨日ご入金いただくはずだったお支払いが確認できないのですが・・・・」と言って、連絡するのです。
そうすると、滞納者は、「あ、忘れていました!すぐ払います!」と言って支払ってくるケースがあります。
私の感覚では、電話で督促した際に、滞納者が支払いの約束をして和解したケースでも、その半分は約束不履行になります。
この約束不履行者と言うのは、約束したにも関わらず、支払いをしてこない悪質な滞納者であるとして、回収可能性が低いと判断する方もいることでしょう。
しかし、支払いをしない理由が、上記のように管理能力がないことにある場合は、こちらが管理の手助けをすることで回収につなげられる可能性が大いにあるのです。
電話連絡してもまったく連絡がつかない滞納者や、電話連絡がついても、支払いを拒絶して和解に至らない滞納者等と比べると、一度でも和解に至った滞納者は、(安易に和解に応じるものの、支払い意思はない悪質な者はさておき)実は回収可能性の高いターゲットとなるのです。
本日はここまでとします。
次回は、少額債権回収における全体スケジュール策定の重要性と、その中身について、解説していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。