本日から、少額債権回収における全体スケジュール策定について検討していきます。

 

「債権回収はスピードが命」と聞いたことがあるかと思います。

理由は何でしょうか。

 

企業間の売掛金の回収を例にとれば、財務内容の悪化した企業から債権の全額を回収しようと思えば、1日も早い方が良いということは想像がつくと思います。

 

そのような債務者企業は多方面に負債を抱えていて、債権者全員に対して全額の支払いをできる状態ではないケースが多く、そうであれば債権回収に熱心な債権者が早い者勝ちとなることが通常だからです。

 

ところが、本連載で検討している少額の債権回収というのは、債務者1人あたりの負債単価は3000円~3万円程度を想定しており、早くしないと全額の回収ができないといった関係にはないようにも思えます。

それにもかかわらず、少額債権回収においても早期の督促が効果的である理由は、債務者心理にあります。

債務者の心理として、商品を購入し、またはサ-ビスを受けてから時間が経てば経つほど、支払い意思は弱くなります。

商品を購入した直後というのは、この商品を受け取ったのだから、その代金は支払わなければならないという意識が強くあります。

しかし、商品を受け取ってから長期間経過すると、商品を受け取った意識が薄らいでいき、あたかも支払いの対価がないのに代金だけ請求されているような錯覚に陥り、なんだか損をする気分になってしまうのです。

 

こうなると、債務者は支払から逃げられるものであれば逃げてしまいたいと思うようになりますし、支払いを免れるために、理屈にならない理屈をこね始めたりすることになります。

 

このような理由で、少額債権回収についても、

「鉄は熱いうちに打て」

が当てはまるのです。

 

このように、少額債権回収においてはスピードが命なのですが、場当たり的に債権回収手続きを進めていると、どうしても対応が後手後手に回り、遅々として回収手続きが進まないということになりがちです。

 

 

少額債権回収というのは、同種の債権が継続的に大量に発生しますので、対応が場当たり的であると捌ききれなくなるのです。

一応督促状は出してみたものの、架電対応や2通目・3通目の督促状発送まで手が回らないというケースも散見されます。

そこで、大量の少額債権を効率的に回収していくためにも、事前に回収計画を立て、それに沿って機械的に対応していくことが重要なのです。

 

次回は、実際の回収スケジュールの作り方について解説していきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。