前回は、少額債権回収における全体スケジュールとして、自社督促の段階においては、督促状を3通程度、督促架電を3回ほど行う必要があり、その後は弁護士へ一律委託することをお勧めしました。

本日から、自社督促のスケジューリングを検討していきます。

 

まず重要になるのが、督促状発送日と督促架電日をどのように位置づけるかという点です。

この点は、督促文書が債務者の手元に届くあたりを狙って架電を行うのがセオリーです。
債務者にとっては、督促状が届いた直後に電話がかかってくれば、債権者の「本気度」が伝わるからです。

 

逆に、督促状が届いたにもかかわらず、しばらく電話はかかってこないという場合は、債務者にとっては優先順位の低い債務に見えてしまって、支払いを先延ばしにしても大丈夫そうだという誤った認識を持たれてしまうことになるからです。

 

次に重要になるのが、督促状の段階的発送という概念です。
最初に督促状を出す段階では、たまたま支払い忘れてしまっていたお客様が含まれている可能性があり、あまり強い表現の督促状を出してしまうと、「悪者扱いされた!」として、お客様の心証を害してしまいます。

支払う意思のあるお客様が、支払い意思をなくしてしまうというのは本末転倒です。

 

一方で、督促状を何度か出しているのに、一向に入金がない債務者に対してまで丁重に扱っていると、逆に足元を見られて、支払いをしていないことが当然という事態になってしまいます。

 

また、段々と強めの表現で督促していかないと、「何度も督促状が来ているけど、この程度の文章であれば、放っておけばよいだろう」という誤った認識を持たれてしまいます。

そこで、督促状の表現は段階的に強めていく必要性があります。

 

そして、このように段階的に表現を強めるというのは督促架電も同様です。

督促状の2通目が発送される前までの段階では、単なる支払い忘れや支払い漏れといったケースも十分あり得ます。

この段階の架電対応は、できるだけ丁寧に行います。

「債務者の契約違反を糾弾する」のではなく、「支払いが確認できないので、その状況確認を行っている」というスタンスで臨むことが大切です。

 

一方、1通目の督促状を無視して、1度目の架電の際にも支払いをしない債務者に対しては、徐々に強く支払いを求めていく姿勢が必要になります。

 

本日はここまでとします。

次回以降は、督促状と督促架電の具体的な内容について解説していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。