本日は、電話対応におけるケース別対応法⑥として、
債務者の判断能力がなくなっていたり、乏しくなっている場合で、
前回解説した後見以外の成年後見制度等について解説いたします。
まず、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」については、
家庭裁判所が保佐人をつけることになっています(民法11条)。
保佐を受ける本人を被保佐人と言います。
保佐が開始されると、本人は、法律が定める行為については保佐人の同意が必要になり、
同意のない行為は取り消すことができることになります。
この点、通販での商品の購入については、
「元本の利用」(民法13条1項1号)に該当する可能性があり、
その場合には保佐人の同意が必要となります。
ただし、この規定は、
本人がある程度大きな金額を浪費してしまうことを防止するための規定ですので、
数万円程度の買い物については保佐人の同意は不要とも考えられます。
次に、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」については、
家庭裁判所が本人の同意を得た上で、補助人をつけることになっています(民法15条)。
補助を受ける本人を被補助人と言います。
家庭裁判所は、一定範囲の親族等の請求がある場合、
本人が特定の行為をしようとする場合には、補助人の同意が必要である
という内容の審判をすることができます(この審判にも本人の同意が必要となります)。
現実問題、通販の買い物についてまで
このような審判をしているケースは稀であろうと思われますが、
仮に補助人の同意が必要とされた場合には、
本人が補助人の同意なく行ったしまった行為については取消しの対象となります。
以上は法律上定められている後見制度ですが、
本人があらかじめ任意後見契約を締結している場合もあります。
具体的には、自分の判断能力が不十分になった場合には、
任意後見人に対して一定の事項について委任し、
代理権を与えるという契約を結んでおき、
いざ本人の判断能力が不十分になった場合には、
家庭裁判所から任意後見監督人という任意後見人の活動を監督する者を選任してもらい、
その時点から上記の契約が発効するというものです。
任意後見人には代理権が認められますが、
既に本人が契約した内容について取り消す権限までは持っておりません。
このように成年後見制度には様々な類型が用意されていますが、
督促の場面で、債務者本人の後見人であるなどと申告があった場合の後見等の内容、
後見人等の確認方法について次回解説します。
本日はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。