今回は、債権回収の場面における本人確認の手法をご紹介します。

 

個人情報の保護に関する法律では、個人情報取り扱い事業者が、
法に定める例外事由がないのに、
あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを禁じています(同法23条1項)
債権回収の場面でも、この規定が適用されます

それゆえ、債務者の個人情報を誤って第三者に開示してしまうことのないように、
電話対応の場面等において、通話相手が本人であるかどうかについて確認を行うことが必須となります。
(たとえ、同居の親族等であっても、本人以外であることに変わりはなく、
本人の個人情報を伝えることは禁止されています)

この点、本人確認については、どのような方法で、どこまで行う必要があるのかについて、
明確な規定があるわけではありません
本人確認を厳格に行えば行うほど、円滑な督促行為が阻害されてしまいます。

また、本人確認を厳しく行えば、どこまでも厳しくすることができますが、
それでも本人の成りすましを100%見抜くこともできません。
かといって、杜撰な本人確認によって個人情報を漏洩させてしまうと、
同法違反の責任は免れません

 

そこで、成りすましを防止しつつ、督促行為にもできるだけ支障のない方法を模索し、
独自にルールを設定することが必要です。
電話対応の場合の例としては、生年月日との一致確認や、コールバックによる確認が考えられます。

もしも生年月日の情報を取得していない場合には、
「登録されている電話番号との通話かどうかを確認する」
「会員番号の申告をうける」「登録住所等を申告してもらう」などの方法や、
これらを組合わせて本人確認を行うことが考えられます。

電話がかかってきた場合(受電)と、こちらから電話を架けた場合(架電)とで、
本人確認の程度を分けることも有効です。

前者の場合は、登録電話番号と登録住所の双方を確認しつつ、
後者の場合は会員番号のみを確認するといった対応です。

 

本日はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。