前回は、自社回収手続きにおいて、書面による支払い約束の取り付け方法について解説いたしました。
本日は、その際に保証人を付けてもらう方法を解説します。

 

滞納金額が大きい場合で、本人が再び債務不履行する可能性がある場合には、
保証人をつけてもらうように交渉するとよいでしょう。

保証人と保証契約を結ぶ場合は、口頭では足りず、必ず書面にする必要があります
(民法446条2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」)。

保証人を付ける場合の注意点は、
①連帯保証とすること、
②保証人本人の意思を十分に確認すること、
③保証人の実印で捺印してもらい、あわせて印鑑証明書を提出してもらうこと、です。

 

まず、①ですが、連帯保証の場合は、保証人に「催告の抗弁」と「検索の抗弁」が認められていません
連帯保証でない保証人の場合、「催告の抗弁権」により、
例えば、業者がいきなり保証人に請求をしてきた場合に、主債務者が破産していたり
行方不明であったりしなければ、『まずは主債務者に請求してくれ。』と主張することができます(民法452条)。

また、「検索の抗弁権」があると、例えば、主債務者に返済資力があるにも関わらず、
主債務者が返済を拒んだことにより保証人に請求が来てしまった場合は、
『主債務者は返済能力があるのだから、主債務者から返済してもらうか、それが叶わないなら、
主債務者の財産を差し押さえてくれ。』と主張することができます(民法453条)。

連帯保証人はこれらを主張できませんので、業者が主債務者に請求せずに
いきなり連帯保証人に請求してきても、文句を言うことができませんし、

仮に主債務者にたくさん財産があるにも関わらず返済していない状況であっても、
主債務者に代わって返済をしなければなりません。

 

次の②と③ですが、実際に債権者が保証人に請求した際にトラブルになるケースでよくあるものは、
「私は保証などした覚えがない」というものです。

切羽詰まった債務者が、家族の名前を無断で記名して、印鑑も勝手に押してしまうケースは往々にしてあります。
そこで、必ず、保証人の本人確認をした上で、保証契約書に記名・捺印してもらうことが重要です。
保証人と直接会って、連帯保証の内容を十分説明した上で、身分証明書の提示を求めておけば安心です。

また、捺印には保証人の実印を使用してもらい、印鑑証明書を提出してもらうことは必須です。
印鑑証明書は本人でなければ取得できない前提ですので、
仮に保証人本人と直接会うことができなかった場合でも、それを提出してもらうことができれば、
債務者が無断で捺印したという言い訳は原則できなくなります。

 

本日はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。